参加者日記(松本秀也)

 モンタナを去る日。この日は朝の出発であったが、寝ずに語るもの、最後のサイトへの移動に向けて荷造りをするもの、それぞれモンタナ最後の夜を過ごした。と同時に、3サイトを終え、疲れも見えていた。しかしながらJASCがあと1週間で終わってしまうことを思い、皆ラウンジで、部屋で、それぞれ時を過ごした。そういった意味でモンタナサイトは、私達にとって特別だった。日本の学生にとってはもちろん、ほとんどのアメリカ側参加者にとっても真新しい環境であったモンタナは、私のアメリカに対するイメージにも大きく影響を与えたし、アメリカ側参加者も口を揃えて「良い経験になった」と語っていた。フォーラムなどでは環境というグローバルな問題を、国を越えて取り組むことの意義や難しさを知ることが出来た。アメリカでの3週間を思い1夜を過ごした我々は、眠りに着きながらバスに揺られ、最後の目的地ボストンへと向かっていった。

参加者日記(松尾恵輔)

 この日はMissoula Children’s Theatreにて、環境フォーラムが開催された。午前は幾つかのグループに分かれ、それぞれ設定したテーマについてディスカッションを行う。午後はノーベル賞受賞者を含む三人の有識者と、日本側代表者である金光慶紘の四人で、Glocal(Global+Local) Effect of Modernizationというテーマに沿ってパネルディスカッションが行われた。様々な環境問題に対する地域のコミュニティーの認識や対策について熱く話し合われ、ディスカッション終了後は沢山のJASCerがパネリストに質問し、その環境問題に対する意識の高さが窺えた。
 ミズーラ最終日となるこの日の夜、自然豊かなモンタナとの別れを惜しむように、多くのJASCerが、ホテル近くの山に登った。満天の星空の下仲間と語り合いながら、残された時間の短さに、皆一抹の寂しさを感じるのであった。

参加者日記(誉田有里)

 会議中、最も長いRT time が設けられていた日だった。各RTは、近づいているファイナルフォーラムまであまり時間がないことを再認識し、予定を再調整し始めたような印象を受けた。計7時間のRT sessionを終えた後、夕方にはリビー市のアスベストの被害と水俣市水俣病の被害を対比させたドキュメンタリーを鑑賞した。実際にアスベストの被害者を家族に持つ方、ドキュメンタリーを制作したジャーナリストの方等に来ていただて行われたQ&Aでは、多くの質問が飛び交い、デリゲートの積極的な姿勢と問題意識の高さに刺激された。夜はバラエティーに富んだ内容が並んだ、デリゲートにより議論がリードされるスペシャルトピックの時間である。時間をオーバーしてまで皆で政治について語り、アメデリから投げかけられる質問が私になかった視点であることへ面白みを感じると同時に、これを機に今まであまり話す機会のなかったデリゲートとの距離が縮まった時間でもあった。

参加者日記(廣瀬祥子)

今日は事前に選択した『環境コース』に参加した。(一方では『戦争・平和コース』が用意されていた)水素燃料等の環境に配慮したエネルギーについて研究・開発を進める「Technology Enterprise Center」、地域と企業が一体となってダム解体を行う「Milltown Dam Superfund Site」、森林火災消火に立ち向かう「Smokejumper Center」を順に訪問。現地の環境問題に取り組む様子を実際の目で見て学ぶ貴重な経験だ。一日にこれほどのフィールドトリップをし、色々な人と出会うことが出来る事に幸せを感じる。
特に印象的だったのは「Smokejumper Center」。消火活動の為の重い荷物を背負い、ヘリコプターから勇敢に火に立ち向かう人々の姿を想像すると、常に全力なJASCerの様に情熱的で心打たれるものがある。夜は皆と合流し、お互いの一日について語り合いながら眠りについた。

参加者日記(比嘉慎一郎)

 8月11日、午前中はRT活動。Final Forumまで後1週間と迫ってる事から各RTとも気合が入ってきてることが分かる。我がRTも最終的な方向性を決める議論をした。さすがにここまで来るとそれぞれの思い入れが交錯し、最初は前に進まなかったが何とかまとめる事が出来た。
 午後からはworkshopで『Free Cycle Shop』という、廃棄された自転車を修理して使えるようにするイベントに参加した。多く者が久しく持っていないであろうスパナやペンチをなれない手つきながらも扱う姿は、どこか懐かしいような新鮮なような感じがした。
 友人と試行錯誤を繰り返し完成させた自転車は不恰好ではあったがちゃんと動き、それに乗って受けた風の心地よさと言ったら今まで体験した事の無い程に気持ちが良かった。このworkshopを通してリサイクルの大切さへの意識、地元住民との楽しい交流ができ私は非常に満足して眠りについた。

参加者日記(仁平理斗)

北京オリンピックの開会式を見ながら、ビールをつまみに語った初日から、早二日。ついにホストファミリーとのお別れの日がやってきた。偽りようのないまっさらな青空の下、僕らは近くの山に、最後のハイキングにでかけた。まだ朝9時だというのに、汗ばむほどの天気である。30分ほどして僕は気づく。「これはハイキングではない。登山である。」と。It’s too late! ホストファミリーとお別れのハグをしたときの、僕のフトモモはパンパンであった。いやパンパンパーンであった。そして彼らとの別れが、ジャスカーとの再会を意味することに、戸惑いつつも、僕らは3日ぶりの再会に胸を躍らせた。・・・躍らせた?どうやら、緊張と時差に飲み込まれそうだった会議初日から、あっという間に感じた時間は、とても濃かったようである。そして、ジャスカーという仲間の存在が、自分の中に占める割合に気がつく。残り10日。240時間。14400分。

参加者日記(中村玲奈)

 今日はホストファミリーと過ごす最後の日だ。二泊三日という短い時間の中で本当の家族のように迎え入れてくれた上、心からもてなしてくれた家族と離れるのはとても淋しくあったが、一方で二日ぶりにJASCERに会えると胸を躍らせている自分がいた。モンタナチャイルドセンターで集合した時には、まるで旧友に数年ぶりに再開したように会話は弾み、その場は皆の高揚感に包まれていた。興奮もさめやらぬまま、午後は身支度を整えてモンタナフェアに向かう。オールドアメリカンの雰囲気漂う、小さな田舎の可愛らしい遊園地といったところであるが、流石は“アメリカ”、筆者を2時間激しい乗り物酔いで苦しめるなど実態はなかなかの強者揃いであった。園内でのダービー観戦の際には、日本ではみられないあの豪快さと、興奮して急に好戦的になった某アメデリに驚かされた。一日を通してモンタナの魅力を満喫し、JASCERとの絆を感じさせられる日であった。